【投稿】考察:「エコカー」の手話表現について

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「エコカー」の「エコ」はどちらの意味だと思いますか?

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「エコカー」の手話表現は「お得な車」とあらわされています。

「エコカー減税」などの「エコカー」の手話表現。NHKの手話ニュースでは次のように表現をするキャスターが多いようです。

【得】/【車】

【得】は左手が「九」の形。右手は「ぬ」の指形。右の指を左手にあてて、手前に引く。
これは日本語の「得をする」「利を得る」「節約」という意味にあてはめてつかわれることが多いようです。
この手話を日本語にすると「お得な車」「得用カー」ということ。

なにが「お得」なのか?

次に「お得な車」を日本語でイメージすると、「安い車」「得用車」ということになるかと思います。「手に入れやすい車」という意味に近づきます。
「安くて手に入れやすい車」。だから「【得】/【車】」という手話が選択されたのかなと。つまり「お得」なのは「車」そのもののこと。安いから。

 【得】/【車】は、「エコノミー」を意識した手話表現。

このような視点から整理すると、「エコカー」の手話表現→【得】/【車】は、「エコカー」の「エコ」を日本語の「エコノミー」を意識して表現しているということ。
これは「安い車」という意味を表わすために【得】が選択されているのかなと考えられます。

日本手話研究所サイトhttp://www.newsigns.jp/alph

「日本手話研究所」のサイトには「エコ」「エコノミーA」「エコノミーB」という単語の手話表現がのっています。
「エコ」→【E】/ぐるり
「エコノミーA」→【経済】
「エコノミーB」→【得】

3番目の「エコノミーB」が今回使われている手話です。

「エコカー減税」は「安い車」を買うと「減税」される制度?

はじめてその表現を見たときから違和感がありました。日本語の「エコカー」には、手話の【得】/【車】はそぐわないような。
「エコカー減税」という日本語を、【得】/【車】→「安い車」という視点からみると、「安い車を買うと税金も安いですよ」という解釈になります。
これは本来の制度の内容からするとおかしなこと。
正しくは、「 “エコ” な “車” を買うと、税金が安くなる」ではないでしょうか。

「エコ」は「エコノミー」?

はたして「エコ」は「エコノミー」なのか?「エコ」にあたりをつけて和英辞書をひいてみると…
「economy」エコノミー→「家政・経済」の意
「ecology」エコロジー→「環境・生態(学)」の意
※http://ejje.weblio.jp/content/eco

日本語辞典をひいてみると…
「エコノミー」→①経済。理財。②節約。
【得】/【車】という、「エコカー」の手話表現はこの意味を表現しているものです。「経済的」「節約」という意味。
※http://www.weblio.jp/content/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%83%BC

「エコ」は「エコロジー」がふさわしい。

さらにことばをひろげて日本語辞典をひいてみると…

「エコ 」→ 【eco】他の外来語の上に付いて,「環境の」「生態の」「生態学の」の意味を表す。

「エコカー」という単語ものっていました!

「エコカー」→エコロジーに関する技術がその車種を特徴づける要素のひとつとなっている自動車。環境によりやさしい技術が搭載された車。

これをもとにすれば、「エコカー」の「エコ」は、「エコロジー」「ecology」のほうがふさわしいといえます。

「エコロジー」の意味はこんなこと⋯

本来は「生態学」を意味する。近年は「エコロジカル・ライフ」を「環境にやさしい生活」と訳すなど、環境保全や地球環境に負荷をかけないという意味に用いられることが多い。
※http://www.weblio.jp/content/エコロジー
自動車メーカーに質問してみました。

自分で調べるのもそろそろ限界なので、「エコカー」に関わるところに直接きいてみることにしました。
まず「トヨタ」「日産」「ホンダ」の三大自動車メーカー。

質問の内容はこれ→日本語と手話の勉強をしていて、「エコカー」の語源を調べています。教えてください。
トヨタ
「トヨタ」の回答→「エコロジー」。「環境」という意味合いで使うことが多いです。
日産
「日産」の回答→「エコロジー」と「エコノミー」。両方の意味として使っています。
ホンダ
「ホンダ」の回答→「エコロジカル」という意味です。

⋯この結果によれば「エコロジー」がメインだけれど「エコノミー」もかげに含まれているということでしょうか。

国土交通省の考えは?

「エコカー減税」の担当省庁は「国土交通省」。
その制度を推進しているのだから、ここの考え方がある意味で「正解」となるかなと期待をこめて質問してみました。じゃーん。

国土交通省「国土交通省」の回答→「エコノミー」「エコロジー」。とくにどちらとは限定していません。

あれ!意外におおまか。そんなに深く考えていないのかなぁ。ちょっと期待はずれでした。

結論=「エコカー」の「エコ」は、「エコロジー」「エコノミー」のダブルミーニング。

今回調べた「エコカー」は日本語の実用レベルでは「環境に配慮した車」と「経済的な車」というふたつの意味を含むというのがひとつの結論。
しかし、その手話表現として「【得】/【車】」はどうでしょう? 「エコノミー」が強調されているので、ちょっと違和感を感じたのかも。
個人的には、前述の「日本手話研究所」のサイトにある
「エコ」→【E】/ぐるり これのほうがなじむ気がします。

しかし「節約」という解釈もできそう。

ここまでまとめてきましたが、改めて考えてみると「節約」の意味がひっかかりました。「日本手話研究所」のサイトで「節約」をひくと、【得】の手話と同じです。これをもとにすると

【得】/【車】

の手話は日本語で読み取ると、「節約」「車」となります。
この「節約」の意味はどうでしょう? ふたつ考えられます。
1.「資源」を節約する(できる)。
2.「費用」を節約する(できる)。
1は「エコロジー」。2は「エコノミー」の意味です。
そうすると、この手話表現はダブルミーニングとして採用されているのかも。これなら日本語の意味合いとぴったり合いそう。
そこまで考慮してのこの表現なのか? もしそうなら、実に奥の深い表現を選択したもんです。すごいなぁ。
逆に、はじめから「得」という意味にとらわれすぎたかなと反省も。

「ドローン」はどう表現されていくのか?

世の中の新しい現象に対してつけられる、新しい単語。日々増えていきます。それをあらわす手話表現。その表現に至る過程はどのようになっているのか。詳しくはわかりませんが、結果として日本語の意味合いとそぐわない場合も出てくることもあります。
今回はそこにこだわって調べてみました。これに似たことは次々とでてきます。
最近では「ドローン」。これはまだ登場まもない現象。手話ニュースでは各キャスターがいろいろな表現をしています。これからどのように洗練されていくのか? そのような見方で手話をとらえることもおもしろいかもしれません。【小林】

ここまで読んでいただいてありがとうございました。最後にもう一度アンケートをお願いします。内容は同じです。

※なお、国土交通省への質問の際に気をきかせすぎて「エコカーの意味は、エコノミーでしょうか? エコロジーでしょうか?」としてしまいました。

ちょっと誘導気味の質問になったかなと反省しています。興味のある方はためしに国土交通省にたずねなおしてみてください。
回答が変わってくる可能性はあります。
さらに担当部署がちがうので省きましたが、国土交通省は「住宅エコポイント」というのもてがけています。そちらも興味のあるところです。